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大人しく待つ
04.12.2010 (Sat)

朝起きると大雪。今年で三度目のオランダの冬。降るだけどこれだけの雪がロッテルダムでも降るとは正直驚いた。札幌の冬を思い出す。

家の窓からは、土曜日に広場で開かれるオープンマーケットを見ることができる。雪のため人足は遠のくし、テントの屋根に次から次へと積もる雪の対応におわれ、早くから店じまいするテントが多い。

こんな日に何をしたくても、どこに行きたくても、簡単にはできない。できることはただ大人しく雪が止むのを待つことだけ。


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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-12-08 17:19
オランダ+フランス=
03.12.2010 (Fri)

しばらく前になるが、僕らの隣のチームにポーランド人アーキテクトが来た。彼女はデルフトの設計事務所メカノー (Mecanoo) 、そして以前紹介したロッテルダムの設計事務所 Powerhouse Company 等で働いた経験を持つ。

Powerhouse Company のリプレゼンテーションは面白く、このブログでもとても反響が大きかった。彼らのウェブサイトを見るとプロジェクトごとにいろいろと興味深いイメージがあるのだが、その中でもオフィスのビジュアルアイデンティティがとてもいい。

Powerhouse Company はベルラーヘ・インスティテュートで知り合ったオランダ人とフランス人によって設立された。異なる文化の融合というこのオフィスの価値を様々なグラフィックで示している。

その中でも二つの国旗が重なり合って生まれた新しいイメージが好きだ。

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-12-05 11:12
ピクセル化された希望
02.12.2010 (Thu)

FIFAワールドカップの開催地が発表になった。2018年にはオランダ・ベルギーも立候補していたこともあり、オフィス内では発表のライブ中継をネットで見る人が多く関心が高かった。

結果、2018年は、オランダ・ベルギーならずロシア。2022年は日本ならずカタール。日本の誘致に関わり多くの努力を注いだ方々には申し訳ないが仕方がないような気もする。オリンピックやワールドカップは経済的に最も開発が盛り上がっている都市が選ばれることが多い。まして2002年に韓国と共同開催したばかりの日本が選ばれるとは正直なところ多くの人が期待していなかったのではないだろうか。

偶然にもこの二つの国は近年、OMA/AMOが盛んにリサーチやデザインを行っている国でもある。ロシアとカタールにある大都市は、劇的な経済成長による変化の過程にあり、OMAに限らず多くの建築家にとっても注目の対象となっている。そんな二つの国が選ばれたことにはとても腑に落ちる。

* * *

日本の未来にはロシアやカタールをはじめとする中東諸国のように輝かしい発展が待ち構えている訳ではない。
厳しい見方をするとこの敗北は、日本は単に開催地として選ばれなかったということだけでは無く、世界から忘れ去らつつあり、経済的な成長とは無縁の国の一つだと世界の国々から判断を下されたと言ってもいい。

もはや日本の将来には、ロシア、中東諸国のような発展のそして未来への希望はないのだろうか?

僕は決して希望がないわけではないと思う。

ただし、それは国全体としての希望というものではなく、個人の一日本人としての希望と言えるものだと思う。全体の大きなゴールに向かう希望ではない、それは様々な色を持つ小さなピクセル化された希望だ。

オランダにいて感じるのは、日本人はとても特殊なキャラクターを持った存在として解釈されているということだ。それは僕個人に向けられた解釈ではなく、一般的な日本人に対する解釈である。

日本人は極東の特殊な地理的条件に生き、日本語という世界でもっとも複雑な言語を操り、勤勉さや器用さといった他の国の人々に比べると少しだけ違った特性を兼ね備えて生きている。国として注目を集めることはなくなったとしても、個の日本人としての特性は多くの分野で受け入れられ注目され続ける。この特殊な特性を活かし一日本人として生きていく道に希望は残されている。

そのことは世界の経済状況や政治状況がいかに変化しようとも変えることのできない事実である。それを忘れないで、大きな波や大きな声に自分の気持ちをかき消されることなく、自分の足で歩き続けることのできる人にこそその人だけの本当の明るい未来があるのではないだろうか。


GAZPROM HEADQUARTERS, RUSSIA, ST. PETERSBURG, 2006
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QATAR EDUCATION CITY, QATAR, DOHA, 2006
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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-12-05 10:31
Napoleon Dynamite
01.12.2010 (Wed)

以前もらった映画コレクションの中からチームメンバーの間で話題だった "Napoleon Dynamite"という2004年のアメリカ映画を見た。邦題は「バス男」といい、映画館での公開はなされていないがビデオが発売されている。

とにかく冴えない映画だ。主人公であるアメリカの田舎高校生、その家族、友人たちは冴えない。舞台となっている家や学校そして田舎町も冴えない。

きっと普通のアメリカの田舎にある光景なんだと思うが、わざわざ映画で見るほどの素晴らしい日常生活は何も描かれていない。

それでも最後、主人公の以外な頑張りを目の当たりにした時にあるい種の感動を覚える。爽やかさとはかけ離れた映画だが、見終わった後には不思議と爽やかさが残った。

アメリカでは割と話題になり多くの賞を受賞した。実際、僕の周りにも多くのファンいる。どうしてこういった種類の映画がアメリカで、そしておそらく世界で受け入れられるのだろうか?ピカピカ輝く映画スター達の共演やCG技術を駆使したSF作品に胸焼けがしている時代には、こういった素朴な日常とそこにも確かに存在している驚きや感動に焦点を当てることで多くの人の共感を得たのだろう。

アイコンの時代に生まれるジェネリックさの魅力はこんな映画の中、そしてそれに反応する人々の嗜好にはっきりと現れている。

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*  *  *

ちなみにこの映画が公開された2004年に60歳を迎えたレム・クールハースは、彼の活動の集大成となる作品集を出版している。それは、有名建築家の立派で高価な典型的な作品集という形式を批判し、実際に広告も掲載されている雑誌のようなチープさを採用したものだ。そのある種の冴えなさという美意識は、この映画の空気感に通じるところさえある。その作品集のタイトルは"Content"と言い、同タイトルの大規模な展覧会も開催されている。
Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-12-04 23:26
寒波到来
30.11.2010 (Tue)

今週からロッテルダムはかなり寒くなってきた。雪も降って風も強いので気温以上に寒く感じる。アパートからオフィスまで10分の通勤さえもつらいくらい。

今日は久しぶりにレムがオフィスにいる日。一体普段はどこを飛び回っているのかわからないが本当に久しぶりにオフィスで見かけた。締切が近いチームは彼とのミーティングのためにピリピリとしたムードを漂わせている。
Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-12-04 22:34
シュール・ベルギー
29.11.2010 (Mon)

ベルギーのアーティストはとても独特の感性を持っていると思う。調べ物をしていてたまたま遭遇したベルギー人写真家、Filip Dujardinもその一人だ。

マグリットに代表されるベルギーのシュールレアリズムの流れを汲んだ写真家でリアルだが何かが根本的におかしな写真を多く発表している。

スケッチアップで超現実的なボリュームを立ち上げて、彼の住むベルギーの地方都市ゲントに建つ普通の建物を撮影し、モンタージュイメージを生み出すのが彼の手法である。

以前のブログでベルギーの建築について考えたことがあるが、やはりベルギーの建築家、アーティストの独特の感性にはいつもながら深くシンパシーを覚える。

彼らはボキャブラリーを生み出していない。ただ普通にそこにあるものを組み合わせている。その態度にとても心惹かれる。我こそはと自分の個性を前面に出したデザインはせずに既にあるものをただ組み合わせる。その組み合わせ方の面白さ、さじ加減が新しく発見のある日常を生み出している。

先日書いたOMAのモッロコの国立博物館コンペ案に対する違和感は、多くのボキャブラリーを生み出している割にはその組み合わせが過剰だというものだった。その違和感に対する答えとも言えるデザイン手法をベルギーのアーティストは既にマグリットの時代から繰り返し、今日もその魅力を持続させている。


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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-12-02 10:26
コンスタントとオランダ現代建築
28.11.2010 (Sun)

H・P・ベルラーヘにより設計されたデンハーグ市立美術館に出かける。
色々な企画展が開催されていてどれも刺激に溢れている。その中で最も新鮮な驚きを覚えたのが、オランダ人アーティスト、コンスタント(Constant)によるビューバビロンシリーズのドローイングや模型群だ。

南後由和さんがコンスタントのニューバビロンについて研究されていて日本でもこのところ注目が高くなっていると思う。コンスタントの思想的な背景は今日の展示からはそこまで詳しく解らなかったが、アーティストである彼の作品そのものがその後のオランダ建築家たちに与えた影響は計り知れないものがある。

一部屋丸ごとコンスタントの作品が展示されていた。現代オランダ建築のエキシビジョンに来ているようなそんな錯覚さえ覚えた。

*  *  *

CONSTANT / 1969
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OMA / CITY HALL THE HAGUE, NETHERLANDS, THE HAGUE, 1986
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*  *  *

CONSTANT / DESIGN FOR A GIPSY CAMP, 1956
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OMA / JEDDAH INTERNATIONAL AIRPORT, SAUDI ARABIA, JEDDAH, 2005
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*  *  *

CONSTANT / SURROUNDING OF DEPARTURE, 1959
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MVRDV / LEIDSCHENVEEN TOWN CENTRE, NETHERLANDS, LEIDSCHENDAM, 1997
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*  *  *

CONSTANT / SMALL LABYR, 1959
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MVRDV / BERLIN VOIDS, GERMANY, 1991
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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-29 09:40
建築写真
27.11.2010 (Sat)

以前紹介したレクチャの中でレム・コールハースは建築写真について語っている。

彼は建物だけが仰々しく写されている建築写真に対して批判的であり、彼はむしろその建物が建つ周辺の経済的、社会的環境が写りこんでいる写真を好む。

それは、彼が常々建築とは一つの完結したオブジェクト(アイコン)として存在するものではなく都市の一部としての存在するものだと考えているからだ。建築はその経済的社会的な背景と重なりあった際に強さを持ってその存在感が浮かび上がってくる。

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彼がそんな写真を好む理由は、古いものと新しいものの対比というグラフィカルな面白さだけにあるわけではない。経済の発展の真っ只中に建つ建物の場合、その社会のエネルギーが表現される。穏やかな日常、寂れ行く都市の中で生まれる建物の場合それ相応の表現が似合う。そんな建築写真というものが存在するはずである。その時代のその都市に確実に存在するリアリティが生々しく写りこんだ写真に彼は美しさを見出す。


*  *  *

そんな非アイコニックなリプリゼンテーションを行う世代が誕生しつつある。近年様々な作品でその存在が注目されているロッテルダムの設計事務所 Powerhouse Company、彼らによるハーグシアターコンペ案のパースがその良例だ。

穏やかな生活を送っているオランダ、ハーグの市民にとってはシアターといえども、それはあくまでも市民の生活の背景である。そんな意図がこのパースからは多いに伝わってくる。市民はカフェでおしゃべりをしシアターの存在そのものには特段目もくれない。しかしシアターはしっかりとその生活の背景として存在している。ものすごい都市生活のリアルさが伝わって来るとても強いリプリゼンテーションだ。

レム・コールハースの考える都市と建築の関係はこんなカタチをもってオランダの次世代にも継承されている。

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-28 09:57
祝いの夜
26.11.2010 (Fri)

友人とそのオランダ人の彼女が家に遊びに来てくれた。先日オフィスでお祝いしてもらったときと同様にオランダスタイルの出産祝いをしてくれた。ほんとうにどうもありがとう。

しばらく部屋で色々雑談をして盛り上がったあと、バーに出かけビールを飲み別れる。

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-28 08:37
NATIONAL MUSEUM OF ARCHEOLOGY AND EARTH SCIENCES
25.11.2010 (Thu)

モッロコの首都ラバトで行われ国立博物館(NATIONAL MUSEUM OF ARCHEOLOGY AND EARTH SCIENCES)のコンペ案が公開された。

残念ながらOMAはコンペには負けている。コンペの勝敗というのは、政治的な要素、審査員メンバー構成、などデザイン以外にも多くの要素が絡んで決定されると言われる。それでもやはり案そのものの良し悪しが最大の判断基準になるのは言うもでもない。何が敗因なのか?負ける案というのはどこに問題や弱さが隠されているのかを知りたい。

*  *  *

案の売りは大きく言って三つ。

01. 
三角形の単純なボリュームを持つ。コンテクストの読みよりそれぞれの辺のラインや特徴付けがなされている。単純明快良くわかる。これは問題なさそうだ。

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02.
プログラムは長い歴史を持つモロッコの考古学そして地球科学の博物館である。三角形の多きなフロアに様々な箱が散りばめられている。各箱の中は特定の時代にフォーカスした展示室となる。その異なる時代、テーマの間を来館者は自由に行き来する。これも問題なさそうだ。

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03.
三角形の中心にはアトリウムがある。隣接する公園から展示室までをつなぐように岩場の様な階段状の空間が広がる。サーキュレーションの一部が展示室と融合し、多様なポケットスペースが生み出されてとても賑わいがあっていい。きっと子供達は喜んで走りまわったりするのだろう。これも問題なし。

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*  *  *

上にあげた三つの特徴はそれぞれ魅力的で良い。それでも案が弱いというのはどういうこのなのだろうか?何が案の弱さなのか?

組み合わせが悪いのだと思う。各要素が相乗効果を生まず、むしろお互いのいいところを相殺し、混乱を招く要素となっている。例えば単純幾何学とランダムさのバッティング、離散的な展示室の配置と強い特徴をもつアトリウムの取り合わせ。などなど。

要するに余りにもお腹いっぱいな案という印象が残ってしまう。それがおそらく審査する側に混乱を招く一因になったのではないか。この案のメインパースを見ていると、卵、ジャガイモ、にんじん、ほうれん草、シーフード、ベーコンなどたくさんの具が散りばめられたボリューム満点のキッシュに見えてくる。どんなにおいしそうなキッシュでも相手の腹の減り加減によってはどうしても受け入れられないものになる。

ものすごく満足感のある腹八分目のデザインをしないとコンペに勝つ案にはならない。


NATIONAL MUSEUM OF ARCHEOLOGY AND EARTH SCIENCES
MOROCCO, RABAT, 2010
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QUICHE
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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-28 06:02
Project Booklet
24.11.2010 (Wed)

今週はプレゼンテーションラッシュ。連日様々な相手にプレゼンテーションが行われる。そのためにチームはコラージュやダイアグラムを追加したり改良し準備に追われる。

年末に向けてプロジェクトの概要をまとまめたプレゼンテーションブックレットを製作中。OMAでは各プロジェクト、さまざまなフェーズ毎にブックレットを作る。アーカイブにあるかつてのブックレットを引っ張り出して、どんな大きさ、どんなデザイン、どんな流れにするかなど皆で話し合う。

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-27 23:15
トルコ料理、ビール、雪
23.11.2010 (Tue)

ベルラーヘの頃からの友人がお祝いをしてくれるということで、トルコ料理屋へ行く。その後、ロッテルダムでも大人気だというバーに行きひたすらビールをのみながら色々と話をする。

気が付くを外では雪が舞っている。どうりで寒くなってきた訳だ。

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-26 09:48
ありがとう
22.11.2010 (Mon)

朝オフィスに行くと、チームメンバーをはじめ多くの人達から「おめでとう!」ととても暖かい言葉をかけてもらう。ほんとうにありがとう。

オランダスタイルの出産祝いとして、軽いビスケットにバターを塗りピンクの砂糖菓子をたっぷりふりかけ皆で食べる。

午前中そんなお祝いムードでわいわいと過ごし、午後からはそれぞれの仕事に集中する。今週は久し振りに忙しくなりそうだ。オランダ人の同僚の家にお邪魔して簡単な夕食をご馳走になり、再びオフィスに戻る。
Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-26 08:54
新しい命
21.11.2010 (Sun)

今朝、娘が生まれた。小さな小さな新しい命の誕生だ。
やがて大くなったら広い大海原をどこまでも自由に羽ばたいて行けますように。
ありがとうそしておめでとう。

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-24 07:57
20.11.2010 (Sat)

久し振りに天気がいい週末。最近すっかり運動不足なのでジョギングに行く。いつも行く公園はすっかり秋。

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-24 07:47
Learnning from "Play Time"
19.11.2010 (Fri)

オフィスでは建築以外の話だと、映画が話題になることが多い。色々な国の色々なバックグラウンドを持つ人達にとって、映画は数少ない共通の話題ということなのかもしれない。そのため頻繁に映画のデータの交換が行われ、皆すごい量の映画コレクションを持っていることがわかり驚く。

もらったコレクションの中からジャック・タチの「プレイタイム」を観た。

*  *  *

前も書いたように、映画を観るのは本当に大変だ。この映画もそうであまりにも多くのことが同時に次々と起こる。英語字幕を流し読みし、動く映像を見て、音楽や効果音に耳を傾け、物語の流れを理解するのは大変な作業だ。何かを感じ、考える隙すらない。聖徳太子が十人の話を同時に聞き受け答えをしたような、そんな頭の回転が求められる。

それでも、はじめて観た今回は音楽、効果音から心の引っかりを得ることができた。特に効果音が面白い。
ガラス張りのビルの中に入る主人公。カメラはその様子を多くの人や車が行きかう賑やかな道路から撮ったり、室内から撮ったりする。カメラが行き来するたびに、道路の喧騒と室内の無音状態が行き来する。

完全に透明で何の隔たりも無いように思える二つの空間が、効果音が付くことで大きな隔たりのある全く異なる空間として表現されている。

それを観て(聞いて)、本当に透明なこと、本当に開かれていることってなんだろうか、という疑問が心に浮かぶ。もしかしたら目に見える要素というのは本当は透明なこと、開かれていることのごくごく一部に過ぎないのではないだろうか。この映画の中の空間は視線以外何も開かれていないし、透明でも何でもないのではないか、と自分の問う。

そう考えると、ガラス建築の捉え方もずいぶん違ってくる。例えばミースのファンズワース邸はガラスの透明なデザインがすばらしいのでは無く、ガラス一枚隔て、内と外という全く異なる世界が隣り合わせになっており、その様が赤裸々に暴露されていることがすばらしいのではないか?

暖炉で暖められた暖かな空間が丸見となり、雪が降りしきる氷点下の草原に浮かんでいる。全く関連の無い正反対の質をもった空間がガラス一枚隔ててある。そんな暴力的な隣り合わせだ。そういった暴力性がガラス建築の本当の魅力なのかもしれない。

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*  *  *

OMAがベニスで設計を進めているリノベーションプロジェクト"IL FONDACO DEI TEDESCHI"。この建物の中心にあるアトリウムは外から全く見えない。でもその空間に、透明で開かれた場が生み出されるべく色々な試みが検討されている。少なく僕にとっては、この空間に、「プレイタイム」に登場するガラス張りのオフィス以上の透明感と開放感を感じる。それはとても不思議なことだが、きっととても大切な何かを孕んでいる気がする。

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-24 07:28
明確さとあいまいさとリアルさ比べ 
18.11.2010 (Thu)

チームミーティング。年末に向けて毎週のように重要なミーティングが開催される。その濃密なスケジュールに間に合わせるためにどんどん設計を詰めてドローイングや模型を準備しなくてはならない。

最近は模型やフォトショップではなく、CADの作業の方が圧倒的に多い。たまに模型やコラージュを作ると気分がリフレッシュされていい。

チームメンバーと雑談していたら、CAD、模型、フォトショップの三つの中で大きく好き嫌いがあることがわかった。それぞれの性格が端的に好み現れててなんだか笑えた。

CAD好きは、すべて数値化される明確さが好き、という意見。
フォトショップ好きは、すべてがあいまいでどうとでもごまかせるのが好き、という意見。
そして模型好きは、実物としてモノを生み出すリアルさが好き、という意見。

僕はCAD派、多数派はフォトショップ派だった。
Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-24 06:00
現場常駐
17.11.2010 (Wed)

毎日、アパートとオフィスを歩いて行き来している。片道約10分。

その中間に今設計しているロッテルダム市庁舎の敷地がある。既存建物の解体がだいぶ終わってきた。フェンスの隙間からのぞき込むと敷地の大きさが良くわかる。日中、模型や図面をオフィスで眺め、家に帰る際に敷地をチェックする。毎日出勤、帰宅時に敷地を通ると現場常駐で設計しているような気にさえなる。それはとても贅沢なことだと思う。

もしかしたらOMA史上、オフィスに最も近いプロジェクトではないだろうか?

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Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-24 05:35
She is a sister of La Marea
16.11.2010 (Tue)

たまに出かける古本屋がある。先日そこである本を見つけた。とても古く白黒で味のある子供向けの船図鑑だ。イギリスの戦艦、客船、貨物船などがコンパクトなサイズにまとめられている。

その白黒の印刷と子供の手のひらサイズにおさまるページには、数々の魅力的な船が紹介されている。今まで特に船のカタチに興味を示したことは無かったが、その多様さとなんとも言えない個性たっぷりの船達に取りつかれ、しばらく目を離すことができなかった。

英語の解説文がついている。英語では他の言語同様、船を女性名詞を用いて表現している。たとえば、ある船の解説には「She is a sister of La Marea 」 なんて表現がある。同じところで作られた船は姉妹ということになる。いつでも船底など綺麗にペイントで化粧が施されている船は昔から女性として扱われてきた。おそらく船の美しい造形も女性として扱われる理由の一つであると思う。

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*  *  *

あっと気が付く、都市も女性名詞が使われる。深いつながりのある都市同士を姉妹都市と呼んだりするではないか。そこでなせだろうかと疑問が浮かぶ。都市はどれほど美しい女性なのだろうか?  
Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-18 11:13
オフィスツアー
15.11.2010 (Mon)

僕らロッテルダム市庁舎 "Stadskontoor"チームは、スタッフの通用口から入ってすぐの机を陣取っている。そのため、よっぽど用事が無い限りオフィスの奥や上の階に行くことは無い。

今日久し振りにオフィス内を一周してみた。しばらく見ていない間に色々なものが他のチームから生み出されている。ものすごい模型や、ものすごいコラージュや、ものすごい量の材料サンプルなどなど。

一緒の歩いていた "Stadskontoor"チームの同僚ととも、軽いショックを受ける。僕らも負けずに色々やらなければとそんな気にさせられた。

各チームがそのそうなかたちで刺激を与え、与えられOMAがかたち作られている。
Top▲ | # by murakuni1975 | 2010-11-18 10:02
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