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タワーとスラブのハイブリッド : BOOMPJES
07.12.2010 (Tue)

本物なのかレプリカなのか定かではないが、日曜日に偶然入った歴史博物館には、OMA初期のプロジェクト "BOOMPJES" のドローイングが展示されていた。

出版物の限られた小さな図版しか見たことがなかったが、ものずごい密度と独特の色彩を持つ実作には目を奪われこのプロジェクトについて知りたくなった。

BOOMPJES, NETHERLANDS, ROTTERDAM, 1980
タワーとスラブのハイブリッド : BOOMPJES_d0183261_8485829.jpg


*  *  *

70年代後半AAスクールで教鞭をとっていたレム・コールハースとエリア・ゼンゲリスは、アカデミックな活動から建築の実践にフォーカスするためAAスクールを離れ1980年にOMAの拠点をロッテルダムに移した。

その当時のロッテルダムOMAのメンバーには、キース・クリスチャンセンヴィニー・マースW・ノイトリングサヴィエール・デ・ゲイテル (Xaveer de Geyter) といった現在建築家として活躍しているそうそうたる顔ぶれが揃っていた。

彼らが最初に手がけたプロジェクトがこの"BOOMPJES" である。ロッテルダム市から依頼を受けたこのプロジェクトであり、OMAは戦後のロッテルダム中心部の再開発の現状、マース川と都市との関係などを切り口にリサーチを行い都市と川のエッジに建物をデザインした。

異なるかたちを持つタワーがくっ付いて並ぶ。タワーにしては低く、スラブにしては大きい、そのハイブリッドとも言えるビルディングタイプが提案されている。アムステルダムの運河沿いの街並みとも深読みできそうなデザインである。このドローイングにはリサーチのキーエレメントと新しい建物が一つのイメージとしてオーバーラップされている。

*  *  *

タワーとスラブのハイブリッドというビルディングタイプは、その後OMAのデザインの中で何度も繰り返される。

1986年にはハーグ市役所のコンペ案として、数本のタワーが連なる建物がデザインされた。たった一つの建物で大都市のスカイラインを生み出そうと試みている。

1996年にはLAのユニバーサル本社ビルで、それぞれ異なる特徴を持つ四つのタワーが繋がりこれまでのオフィスビルに見られなかった都市的な回遊性がひとつの建物の中に生み出された。

それらはすべてアンビルトで終わったプロジェクトであるがようやくこのタワーとスラブのハイブリッドというアイディアが実現に向かっている。"BOOMPJES" のドローイングに描かれたマース川の対岸では現在「デ・ロッテルダム」と呼ばれるヨーロッパでも最大規模の床面積を持つ都市のようなビルが建設中である。

アカデミックな世界から離れ、現実のプロジェクトとしてレム・コールハースが最初にデザインした建築、タワーとスラブのハイブリッドというアイデアは30年もの時を経てようやく実現されようとしている。

建築は本当に長く時間のかかる活動だ。てっとり早い成果を求めず、自身のビジョンを信じ何度も繰り返し挑戦を続ける。そんな無骨さとタフさが歴史をつくる。


CITY HALL THE HAGUE, NETHERLANDS, THE HAGUE, 1986
タワーとスラブのハイブリッド : BOOMPJES_d0183261_102496.jpg


UNIVERSAL HEADQUARTERS, USA, LOS ANGELES, 1996
タワーとスラブのハイブリッド : BOOMPJES_d0183261_9525480.jpg


DE ROTTERDAM, NETHERLANDS, ROTTERDAM, 1997-
タワーとスラブのハイブリッド : BOOMPJES_d0183261_9532825.jpg


Top▲ | by murakuni1975 | 2010-12-10 10:29
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