11.10.2010 (Mon)
ノーマン・フォスターのインタビューがネットで公開されている。75歳ながら目を輝かせ30分自分の建築感についてしゃべり倒している姿はとてもパワフル。 このインタビューでは最新作であるニューヨークのスペローネ・ウェストウォーター・ギャラリー (Sperone Westwater gallery) についてフォスター自身からの説明を聞くことができる。ネットで写真は目にしていたが、ビデオを見たのは初め。ひとつ気付いてびっくりしたことがあった。 ガラス越しに見えるこの赤いボックスが動くのだ。展示室なのだが同時にエレベーターでもある。そしてそのゆっくりと動く様子が元工場地域であったこの地区の賑わいを表しているかのようだ。 * * * OMAのMoMAコンペ案を思い出した。1997年に行われたこのコンペでOMAは動く展示室としてのエレベーターを提案した。それは垂直方向のみならず、斜めそして水平にも移動する「オデッセイ」と名付けられた新しい輸送システムである。 エレベーターはなぜ美術館で使われるのだろうか? 19世紀の半ばに発明されたエレベーターは、今ではオフィスや高層マンションのメインインフラとなっている。それらのビルでは、基本的に地上階と自分の使う階を結ぶものであり、ほとんどの人はその二つの階しか使われない。それだけではエレベーターの本当の面白さが発揮されていない。 エレベータの一番の面白さは、中に入って移動し、扉が開いたときにどんな世界が広がっているかわからない点にある。「どこでもドア」のように同じ扉からさまざまな世界が広がる。それが一番面白い。 そんなエレベーターの特徴を一番活かせるのは美術館という場所なのではないだろうか?来館者は基本的に各展示室を訪れる。その展示室同士をつなぐスレッシュホールドとしてエレベーターが活用されている。 エレベーターというインフラを空間体験へと開いたのがこのコンペ案の面白い点だったのだと思う。 建築家は技術を開発する者ではない。 建築家は技術によりもたらされる新しい空間体験を提示する者なのだ。 そんな建築家になりたい。 Top▲ |
by murakuni1975
| 2010-10-12 08:08
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ロッテルダムの設計事務所OMAで建築・都市について考える。「人生の夏休み」http://murakuni75.exblog.jpの続編です。
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