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振れ幅
04.080.2010 (Wed)

今、内田樹の「現代霊性論」という本を読んでいる。歴史的に都市構造や人々の生活がいかに霊性と密接に結びついてきたかが面白おかしい対談形式で記述されていてとても面白い。

同時に建築や都市計画の勉強や実践を通じて僕等が扱っている近代化以降の都市というのはいかに限られた都市の一面しか見ていないのかに気付かされる。

僕等近代以降の建築家は、都市を高校で習う物理のように抽象化されたモデルとして語っている。それは全体を効率的に把握するにはとても優れた手法だが、それだけが真実ではないことを忘れてはならない。

この本で面白かったのは過去から現代まで続く宗教家の役割について述べられた章だ。宗教家とは大きく分けて「教団宗教家」と「民間宗教家」に分けられるらしい。

前者はいわゆるカリスマ性をもった教祖タイプの指し多くの人にビジョンを説く、一方後者は個々人を対象としそれぞれの固有の悩みや問題を解いていく。どちらがすばらしいということはいえないが役割の違いとして二分される。

宗教家というとカリスマ教祖様のイメージしか無かったが個々人を対象にするアプローチもあることをはじめて知った。

*  *  *

ベルラーヘで勉強を始めてから、リサーチと建築単体のデザイン、もしくは都市と建築の間を行ったり来たりしている。一方がもう一方にどう影響を与えるのかについてずっと考えている。

レムはその間を自由に行ったり来たりできる数少ない建築家だ。その振れ幅が僕にとって彼の最大の魅力である。彼は「教団宗教家」と「民間宗教家」のどちらの性格も備えたカリスマであり、その振れ幅は今までのどんな建築家より広い。だからレムは「建築家の新たな職能を開拓している」と言われたりする。

OMAで一緒にインターンをしている友人から、そんなレムの面白い言葉を教えてもらった。

''I have, as opposed to a love for
architecture, an unconditional love for the city''
- Rem Koolhaas

残念ながら出典は不明です。

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Top▲ | by murakuni1975 | 2010-08-05 09:39
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