21.08.2010 (Sat)
最近のOMAのデザインに見られる傾向を一言でいうならピクセル化と言えるのでは無いか。 自由な角度をもった多面体で構成されるデザインはシアトルライブラリーやカサ・ダ・ムジカそしてホイットニー美術館増築案を頂点として落ち着き、近年は立方体もしくは直方体を重ねたようなデザインが多く見られる。 何を意味しているのだろうか?わからない。でもそういった傾向があるように思う。ジェネリックなピクセルで全体を構成するというのは、レムの批判するフリーな形態の建築が乱立する建築のアイコン化に対しての一つの答えなのかもしれない。しかしそんな単純なこと意外にも意味があるような気もする。 調べてみるとこのピクセル化は最近に始まったことでは無いようだ。なんとレムがエリア・ゼンゲリスとともに1975年から1978年にかけてAAスクールで指導したスタジオの学生作品には多くのピクセル化が見られる。 PRPJECT OF THE STUDENTS OF DIPLOMA UNIT 9 DIRECTED BY REM AND ELIA AT THE AA SCHOOL, 1975-1978 その後はスロープや前述の多面体を初めとするデザインが主流でしばらくピクセル化は登場しないが2004年の新宿の"IDEA VERTICAL CAMPUS"コンペ案で再び登場。その後、2009年タイ・バンコクの"MAHANAKHON"、同じく2009年ロッテルダムの市役所増築案"STADSKANTOOR"とピクセル化が続いている。 IDEA VERTICAL CAMPUS, 2004 MAHANAKHON, 2009 STADSKANTOOR, 2009 純粋な形をピクセルがくり貫くパターン、ピクセルが緩く不確かな全体のアウトラインを形成するパターンが今のところ見られるが、このピクセル化の傾向は様々な方向へ発展が考えられそうだ。 ただもともと自由な形態への批判から00年代半ばに再び登場したこのピクセル化はおそらくその登場の理由からしてあまり、激しい形態へは発展しないような気もする。 * * * などということを最近考えていてぼんやりとネットを見ていたら衝撃を受けた。イギリスのアーティスト、アントニー・ゴームリーは人間の形態をピクセル化した作品を同じく00年代半ばに発表している。彼は通常つるっとした表面の彫刻を制作しているが、この時期人体を直方体の集合として表現したピクセル化作品を幾つも生みだしている。 その佇まいはOMAのスタディ模型にしか見えない。良く見ると人だとかろうじて気が付く。建築家もアーティストもある時代の空気感により何かを共有しているということなのか。文明にしろ発明にしろデザインにしろ何かは世界同時多発的に生まれるものなのかもしれない。 SETTLE, 2005 Top▲ |
by murakuni1975
| 2010-08-22 11:48
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ロッテルダムの設計事務所OMAで建築・都市について考える。「人生の夏休み」http://murakuni75.exblog.jpの続編です。
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